大阪市立大学数学研究所
情報幾何と関連分野 小研究集会


[English] [プログラム]

日時: 平成25年3月6日(水)
場所: 大阪市立大学 大学院理学研究科 共通研究棟 3階 数学講究室 301室
組織委員: 大仁田義裕(大阪市立大学),松添博(名古屋工業大学)
プログラム
3月6日(水)
10:00 - 11:00 田中 冬彦(東京大学)
時系列モデルの情報幾何とベイズ統計への応用 (1)
ベイズ統計と決定理論、特にベイズ予測分布を中心に概説する。ベイズ統計では事前情報に基いてパラメータの事前分布を設定して統計的推論を行うが、事前の情報がない場合に用いる事前分布(無情報事前分布)の設定が難しい。本講演では、特に統計モデルの微分幾何学的な性質と関連した無情報事前分布を幾つか紹介する。

11:15 - 12:15 田中 冬彦(東京大学)
時系列モデルの情報幾何とベイズ統計への応用 (2)
主に時系列解析で使われる自己回帰モデル(ARモデル)の微分幾何学的な性質を論じる。ARモデルは古くから知られている基本的な統計モデルにも関わらず、無情報事前分布の理論的な取り扱いは難しかった。しかし、特性多項式の根を用いた座標系の導入と、Schur多項式に関連した一連の計算公式を組み合わせることで微分幾何学的な性質が議論できるようになった。特にARモデルをリーマン多様体とみなすと正の非定数優調和関数を陽に求めることができ、ARモデル上に優調和事前分布が構成できる。また、自己回帰移動平均モデル(ARMAモデル)などにも少し触れる。
[講演資料]

13:45 - 14:45 金森 敬文(名古屋大学)
アファイン不変なダイバージェンスとその応用
統計的推論における推定量の多くは,ダイバージェンスの最小化として定式化 される. データの変換に対して不変なダイバージェンスを用いることで, 測定の単位系などに依らない推論を行うことができる. 統計的データ解析では,データの前処理としてアファイン変換がよく用いられるため, 本講演ではアファイン変換のもとで不変なダイバージェンスのクラスについて考察する.とくに,その数理的な性質と実データへの適用例について述べる.なお本研究は藤澤洋徳氏(統数研)との共同研究である.

15:00 - 16:00 松添 博(名古屋工業大学)
変形指数型分布族上のHeese構造
q-指数型分布族をはじめとする変形指数型分布族にはHesse構造が定まるが,自然な構成法で,いくつかの異なるHesse構造が現れる.この講演では,これらのHesse構造を議論し, Tsallis相対エントロピーとalpha-divergence, beta-divergence などとの関連を考える.

16:15 - 17:15 黒瀬 俊(関西学院大学)
ヘッセ多様体と双曲性
平坦なアフィン接続が与えられた多様体の接朿は自然な複素構造が導入される。さらにヘッセ多様体に対しては、その接朿はケーラー多様体になることが知られている。この接朿の複素幾何的な性質を調べるための一つの試みについてお話しする。