京都大学数理解析研究所短期共同研究
統計多様体の幾何学の新展開

共催: 文部科学省 数学・数理科学と諸科学・産業
との連携研究ワークショップ


[プログラム] [19日] [20日] [21日]

日時: 平成26年2月19日(水)〜2月21日(金)
場所: 京都大学数理解析研究所 110室
組織委員: 松添博(名古屋工業大学)
プログラム 多くの方にご参加頂きありがとうございました.
2月19日(水)
12:50 - 13:20 松添 博(名古屋工業大学)
統計多様体上の微分形式と統計的推論の幾何学
情報幾何学や統計多様体の幾何学について概略を述べ, 本共同研究の趣旨説明などを行う.

13:30 - 14:30 逸見 昌之(統計数理研究所)
推定関数と捩れを許す統計多様体
パラメトリックな統計モデルSに対し、推定関数が1つ与えられると、 プレコントラスト関数と呼ばれるS×TS上の関数が(自然に)定まり、 そこから捩れを許す統計多様体の構造が誘導される。特に、推定 関数が(パラメータに関して)非可積分な場合には、誘導される双対 アファイン接続の一方に、実際に捩れが生じる。本講演では、その 幾何構造の統計的な意味や役割について議論する。

14:50 - 15:50 野田 知宣(明治薬科大学)
シンプレクティック・ベクトル空間上の確率分布の発展について
シンプレクティック多様体のシンプレクティック同相は測度を保つが、それ以外にも非自明な制約が課される。
シンプレクティック多様体上の確率分布をシンプレクティック同相で変換する場合に、これらの制約から得られる事と情報幾何学との関わりについて考える。

2月20日(木)
9:20 - 10:20 魚橋 慶子(東北学院大学)
ヘッセ領域上のα-接続による調和写像について
調和写像は,通常レビ・チビタ接続を用いて定義される.本発表ではヘッセ領域を統計多様体とみなし,レビ・チビタ接続と限らないα-接続による調和写像の定義・性質・例を統計部分多様体(等位曲面など)に対して紹介する.

10:40 - 11:40 鈴木 達夫(芝浦工業大学)
不定値計量空間の双対幾何
不定値計量空間において,行列の幾何学の観点から Fenchel-Legendre双対関係を考察する. さらに擬球とそのLegendre双対との関連についても論じる.

13:10 - 14:10 森岡 涼子(国立情報学研究所)
情報幾何に基づく産業連関表の解析と予測
マクロ経済において重要なGDP統計の1つである産業連関表は1年間の産業間取引の集計表であり、経済波及効果の算出・税収分析や価格分析など様々な用途に用いられている。本研究では、情報幾何的分解に基づいて産業連関表を経済規模と産業構造に分解・再構成する手法を提案した。日本経済および地方自治体のデータに適用し、1970年以降の日本経済の考察および2020年の経済予測を行った結果を紹介する。

14:30 - 15:30 廣瀬 善大(東京大学)
一般化線形回帰問題と情報幾何
統計学の線形回帰問題では,パラメータである回帰係数を推定することが問題になる.これはユークリッド空間においてパラメータに対応する点を統計学的に決定する問題と解釈できる.
本発表では,線形回帰問題を含むより広い問題クラスである一般化線形回帰問題を考え, 双対平坦空間の情報幾何を利用したパラメータ推定の一例を紹介する.

15:50 - 16:50 川喜田 雅則(九州大学)
密度比に基づく半教師付き学習の情報幾何
We study the second-order asymptotics of semi-supervised learning based on density ratio. Further, we consider the case where the distribution of x is misspecified. We also try to give an information gemetrical interpretation to these results.

2月21日(金)
9:00 - 9:20 松添 博(名古屋工業大学)
統計多様体の一般化した共形構造とその周辺
統計多様体の幾何学と変形指数型分布族の関連について述べ, 3日目の共同研究についての趣旨説明などを行う.

9:20 - 10:20 和田 達明(茨城大学)
一般化エントロピーに基づく統計力学の拡張とその情報幾何構造
C. Tsallis氏やG. Kaniadakis氏による一般化エントロピーに基づく統計 力学の拡張について紹介し、それらに関連する情報幾何構造について説明する。

10:40 - 11:40 高津 飛鳥(名古屋大学)
$\varphi$-指数分布族のWasserstein幾何
本講演では、$\varphi$-指数分布族のWasserstein幾何に焦点を当てる。 これにより、正規分布及び冪分布の新しい特徴付けを与える。

13:10 - 14:10 清 智也(慶應義塾大学)
不均衡データと変形指数型分布族
不均衡データとは,二値の変量を含むデータであって, その存在比率が 0 あるいは 1 に非常に近いものを指す. 本講演では,不均衡データに対して二項回帰モデルを適用するとき, 極限として変形指数型分布族が現れることを指摘する.

14:30 - 15:30 吉澤 真太郎(御殿場基礎科学研究会)
冪幾何と超幾何関数
q-指数/対数関数など何らかの変数を冪化し、 変形することで超幾何関数の理論と繋がりが生じる。 確率分布とシュワルツ方程式の関係や、ある冪関数族のFenchel-Legendre双対構造など と関係したいくつかの変形を紹介する。 時間が許せば、行列値シュワルツ微分と関連した行列力学系の話も行う。

15:50 - 16:50 金森 敬文(名古屋大学)
ヘルダー不等式とスケール不変ダイバージェンス
距離の一般化であるダイバージェンスについて考える. とくに,ヘルダー不等式から定義されるダイバージェンスのクラスについて, 数学的性質と統計的推論への応用を紹介する.